消費者の日常的な行動にヒット商品の秘密が隠されている 〜経営者お悩み相談 in 名古屋〈1〉






※この記事は、シークレットセミナー後の会食(パワーディナー)の内容をもとに、編集構成したものです。

*今回の経営者さまのプロフィール*
40代男性 Mさん
業種:小売業(時計販売)
業態:オンラインショップ運営


ーー某月某日
(シークレットセミナー後の会食にて)

オキタ Mさんは今回はじめての参加でしたか?

Mさん はい。でも、去年からオキタさんのDVD(驚異のブランディングのつくりかた・入門編)を何回もくりかえし見ています。仕事場まで自転車通勤で1時間ぐらいかかるのですが、その行き帰りの道でiPhoneに入れた音声を聞いて復習しているんです。もう5回ぐらい聞いたと思います。

オキタ DVDはもともと映像ですが、音源のみ取り出してモバイルに入れて持ち歩くこともできるんですね。皆さん工夫されているなぁ。今日のセミナーで得られた気づきはありましたか?

Mさん DVDのなかで、オキタさんが「モノを売るのではなくて、消費者の個別の悩みを解決することを考えましょう」と言っていますが、それを自分のショップでどう表現したら良いのかがずっと分かりませんでした。“個別の悩み”と言われても、ネットショップなので、実際に人の悩みを聞くわけではない。そのように、DVDを繰り返し見ても分からなかったことが、今日のセミナーに参加して自分のなかで理解できるようになりました。

消費者の潜在ニーズを特定するためには、どうしたらいいですか?


オキタ 個人の悩みと直結したニーズというものは、潜在的なものなので、表面的なコミュニケーションのレベルでは見えてきません。誰もみな、自身の本当の欲望というものを隠して生きているのです。また、たいていの場合はその本人でさえ気がついていないものが潜在ニーズというものです。

Mさん そのような潜在ニーズを特定するためには、どうしたらよいのでしょうか?

オキタ 難しいのは、その本人でさえ言語化できていないことなので、本人から直接は聞き出せないということです。道を歩いてる女性に「いま一番欲しいものは何ですか?」と質問しても、「えーっと、うーんと・・」となるのがオチです(笑)
重要なのは、潜在ニーズというものは、その人の「特殊な行動」に現れているということです。人々の行動のすべては、いかに些細なものであっても、ある種の欲求を暗示するものなのです。
ところで、Mさんは毎日、1時間もかけて自転車で通勤されているとのことですが、それはなぜですか?

Mさん そうですねー やっぱり電車が嫌いなんですよね。朝から慌ただしい場に巻き込まれたくないというのが強いです。

オキタ いま仰ったのが、割と表面的な生活レベルのニーズといえますね。そのような、朝から忙しい状態になりたくない、あるいは一人で無心になる時間がほしい・・というニーズのおおもとには、自分のペースで生きたい、自分らしく在りたいという潜在ニーズが存在しています。きっと、自転車で通勤するという行為のなかに、そのような人生のコンセプトが秘められていることを、ふだんは意識されていないのではないでしょうか。

Mさん 確かに、一人で自転車に乗って移動するからこそ、自分の時間を持てるし、他人に巻き込まれないというメリットがあるように思います。自分自身でそのようなメリットを意識せずに選んでいたように思います。

「本当に響くターゲット」と「商品」をつなぐためには、どうしたらいいですか?




オキタ 今回のセミナーの話で分からなかったことはありましたか?

Mさん 「商品のポジショニングを変える」という手法が、なかなか難しくて理解できませんでした。あれはどういうことなのでしょうか?

オキタ 例えば、Mさんが運営されているショップの商品は、わりと筋肉質で男気に溢れたイメージがあり、いまふうに言うと、オラオラ系の商品じゃないですか。ふつうに考えれば、オラオラ系の商品は、一部存在しているオラオラ系の人に売るものと思われがちですよね。しかし、実際は見込みターゲットは彼らだけではないのです。
例えば、格闘家だったり、自衛官だったり、心身ともに本当に強い人々が居るのに対して、いまは強くないけれど、強さに憧れ、いずれそうなりたいと思っている人たちが少なからず存在する。そのような人々が、強くなった気になれる商品を販売することが、位置付けを変えること、すなわちポジショニング(ターゲット)のスライドになるのです。
本当に強い人に売れるもの、強くなりたいイジメられっ子に売れるもの、それはもとは同じ商品でありながら異なるニーズを満たすものなのです。

Mさん ポジショニングのスライドというのは、実際はどのような作業をするのですか?

オキタ 商品に手を加えず、売り方や見せ方を変えるだけでポジショニングを変えることが出来る場合と、同じ商品でもパッケージを変えたり、広告写真などのビジュアルイメージを変える必要がある場合がありますね。どのていどの作業が必要なのかは、ポジショニングを変更する先の対象者をよくよく観察し、その潜在ニーズをつきとめることで見えてきます。先ほども言ったように、対象者の「特殊な行動」に着目するとよいでしょう。

Mさん 商品のポジショニングを変えることについて、他にも何か例はありますか?

オキタ 例えば、ヒーリンググッズを売るとして、そのアイテムによって健康になったり病気を治癒したいと考えている消費者を対象にする場合と、その道具を用いるプロの施術家を対象にする場合とで、同じ商品であっても変わってきます。
あるいは、介護が必要な高齢者を対象とするか、その高齢者の世話をする介護福祉士を対象とするか、高齢者向け事業を幅広く展開したい住宅メーカーを対象にするかで、やはりポジショニングをスライドする必要が出てきます。

商品のスペック(性能)を強調することは得策ですか?


オキタ DVDの視聴やセミナーの参加によって、得られた気づきは他にありますか?

Mさん うちは製造メーカーなので、商品づくりのこだわりをもってきました。そのために、いままではひとつひとつの商品に割とフォーカスしていたが、それを語れば語るほど、商品のスペック(品質や性能)をひたすら強調することになってしまうジレンマがあります。

オキタ 実際はスペックを重視する層は消費者全体の5パーセントしかいないわけですから、そのアプローチでは広がりません。消費者はモノを購入しているのではなく、モノを通して「悩み」の解決策を購入しているのです。つまり、ニーズに結びついた「悩み」を特定することがまず必要になるのです。
ところで、何か新しいことを始めようとお考えですか?

Mさん うちは時計販売を主とするオンライン上のショップですが、商品を売るのではなく、消費者の個別の悩みを解決する方向で考えたら、必ずしも商品を売ることだけが答えではない気がしています。いまは、モノではなくコト、「サバイバルゲーム」のようなものを広めようと考えています。サバイバルゲームは、割とマニアックなゲームですが、一般の人も非日常的な体験ができ、惹かれる部分があると思うんです。そういったことを通じて体を鍛えたりストレス解消ができる解決方法につながればよいと考えています。

オキタ それはまた意外な展開ですね!

Mさん サバイバルゲームの参加者が武装した格好をするのはいわゆるコスプレに近いらしいんです。なぜコスプレしているかというと、軍隊など強いものに憧れる思いがあるから。そういった、特殊な活動をしている人々の行動に注目すると、その奥にある願望が見えてきますね。
そういった、特殊な活動をしている「強さ」に憧れる人に向けて、自由な発想から課題の解決手法を提供するようなことを今後はしていきたいです。それがまさに、ポジショニングのスライドなんですね。



次回に続く