能楽堂から世界へ 日本的「本質」を発信する5時間トークショー



「本質」をめぐる、ノンストップ5時間連談

12月3日、梅若能楽学院会館(中野能楽堂)で開催された、異業種の識者4名によるトークイベント「本質レボリューション」に、弊社代表のオキタが登壇しました。室町時代から続く日本的芸能の粋である能楽。その伝統的なハードウェアである能舞台の上で行われたこのイベントは、常識に捉われない仕事をしてきた各界のプロフェッショナルが、日常を変革するメソッドを専門的な視点から伝えるというもの。ただ知見を提供するだけではなく、その日からすぐに実践できる本質的なスキルを共有することに主眼が置かれたイベントでした。

このイベントの仕掛け人は、南米コロンビアと日本のあいだで本質を模索し続けてきた星子武規さん。杉本鍊堂さん(自然)、菅順一さん(音)、仁平尚人さん(躰)と登壇者がそれぞれ専門的な知見から本質トークをくり広げるなか、オキタは「お金×仕事」をテーマに、日本人のルーツや神道・仏教と関連させた持論を展開しました。

日本的ルーツに、現代を生きるヒントがある

経済自由主義、グローバル資本主義に席巻された現代では、失敗をリスクと見なし、不足を欠点と捉えがちですが、実は古来から日本人はそのようには考えてきませんでした。 日本神話の原典である「古事記」には多種多様な神様(やおよろずの神々)が登場しますが、神話世界で活躍する神であればあるほど、失敗や不足が多いという不思議な事実があります。私たちは、失敗を大事にし、不足を好ましい特徴として捉える見方を二千年以上のあいだ大事にしてきたのです。

また、仏教(密教)の世界で用いられる曼荼羅では、仏たちが相互にお互いのことを祈り合う「相互供養」の世界が描かれています。周囲に笑顔で接することを業務とする金剛笑菩薩、塗香(香りを身体に塗ること)を業務とする金剛塗香菩薩など、諸菩薩にはそれぞれ担うべき役割があります。この世界を維持するためには誰一人欠かせない、欠点はすなわち長所であり、人を救う可能性があるとう世界観がこの曼荼羅の世界に描かれているのです。私利私欲にまみれた自分のことしか考えない世界、他人を支配しようとする世界ほど短命なものはありません。相互に相手のことを優先的に考え、助け合うコミュニケーションを大事にしてきたからこそ、日本はこれだけ長い間、独自の文化や民族性を維持できたのではないでしょうか。経済的な組織としての企業の長期的な発展、個人の金銭的な安定もこのような考え方の延長にこそ実現するはずなのです。

日本≒アジアモデルを世界へ

このような、日本やアジアが大切にしてきた世界の捉え方、コミュニケーションのあり方こそ、世界各国のさまざまな課題を解決するソリューションになり得ると、私たちオキタリュウイチ・ブランド戦略事務所は考えています。祖先が経験した失敗や不足を貴重なヒントとして捉え、そこから学びを得ること。支配するのではなく与え合うような関係性を構築すること。ここに21世紀以降のより優れた世界システム、ポスト資本主義において基本となるべき思想のヒントが隠されているのではないでしょうか。

世界がその方向に向かう第一歩として、参加者の皆さまが何かの気づきを得るきっかけになったならば、今回のイベントでのオキタのトークは意味があったように思います。